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2017年 03月 09日
頭の中は冷静だけれども、体が動かない。
中学生の時に初めて感じた感覚だった。テニス部に所属して、それなりに上手に球が打てるようになって迎えた新人戦。初めての大舞台に臨む緊張感と、自分がどこまで通用するか試すことができる期待に似た高揚感で胸が高鳴った。なんならトーナメント全勝で1位になれるんじゃないかと思っていた。 相手と相対する。ルールも体に染みついている。勝つためには何をすればいいのか?それも全てわかっている。しかし浮足立つ自分がそこにいた。頭が真っ白になる感覚を初めて感じた。ラケットを振っても実感がないので、打った球はほとんどがネットに引っかかる。あんなに走り込んで鍛えた足に、力が入らないので足がもつれる。それでも試合は始まって、淡々と進んでいく。1試合目はただ何となく打ち返しているだけで、相手がミスをしてくれたおかげで勝った。2試合目も相手が自滅して勝った。そこがベスト16。次の試合を勝てばベスト8で県大会出場が確定する。こんなこと言ってはいけないが相手はあきらかに格下で、練習試合では軽くひねり潰せるばかりか、対戦すらしたことがないしないような相手だった。しかし、その時の自分には何もできなかった。来た球を打ち返すものの、それは素人同然のヘナチョコな打球。相手にとってはチャンスボール。相手はそれを決めるわけでもなく、少し強めの打球で返してくるもオレは足が動かずチョンボする。それを繰り返して負けた。負けた実感だけはもの凄く強烈に襲ってきた。勝負に負けて初めて泣いた。そう、後にも先にも負けて泣いたのはあの時だけだ。 練習ではできていることが、試合形式になるとオレの体は全く機能しなくなる。練習不足だと思い、人の倍の球を打ち、人の倍走った。球筋は良くなって、一日の試合を全て戦えるだけの体力は付いたが、試合本番になると全てがうまくいかなくなる。 そんなオレにも人生で1試合だけ持っているものを発揮できた試合がある。たしかそれは高校生の時に出た国体の地区予選1試合目。国体と言っても地方の一番最初の大会。そこで第1シードの下に入ってしまった。勝っても今大会の1番の実力者とやることになる。なぜかそこでリミッターが切れた。シード下とはいえ、相手はそこそこの実力者である。大会ルールは6ゲーム先取の1セットマッチで、主審はおらずセルフジャッジ(選手自身がジャッジする)で進める。 吹っ切れていた俺は、いつもどおりリラックスした状態で全ての打球に対応して、決める球は強打して得点を重ねた。相手のミスを待つのではなく、自分から決めにいった。試合でイメージした所に全ての打球を打てた感覚は、後にも先にもこの試合だけ。セルフジャッジの件は先ほど書いたけれど、オンザラインと呼ばれるギリギリの攻防では、相手が打った打球が自分のコートの微妙な場所に落ちた時には、自らに有利なジャッジをすることも可能である。自分の打球が明らかにライン上に入っている場合でも、相手のジャッジがアウトならば従わざるを得ない場合もある。テニスをある程度経験した人ならばわかってもらえると思うが、自分が打った打球はもちろん、プロの試合を観戦していてもインか?アウトか?というのは、あまりにも微妙すぎる以外は感覚でわかったりする。もといこの試合でも一度相手がそういう姑息な揺さぶりをしてきたが、調子が良かった俺はその後はラインを狙わずに、誰が見てもコート内に入っているように球を打った。完勝。しかしながらその後に第1シードの本命にはコテンパンにやられたのはいうでもない。 今日、なんで俺がこんな話をしたのかっていうと、朝食でコップに注いだ牛乳を倒してしまい、股間が思いっきり牛乳まみれになったんだけど、瞬間的に目の前のティッシュでズボンを拭いたりすればいいのに全く体が動かなかったのです。しかも10秒くらいその状況を呆然と受け入れてた。おかげでパンツまで牛乳が浸み込んでしまいました。もとい、これが命に関わる事象だったら、俺、死んでるな・・・と思ったのです。瞬発力、重要よね。
by atukim
| 2017-03-09 22:20
| ホントに普通
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